万年筆が昔から好きでした。ただ、その頃は欲しくても思うように購入できず、「いつかこれを買おう、あれを買おう」なんて妄想しながらワクワクする日々が続いていました。
ある日、飽きもせずに万年筆の雑誌を眺めていたら、いきなり目を奪う万年筆がありました。「それまで全く見たことも会ったこともないけど、一目見たらこの人こそ完璧に求めていた人だ！」と思うような、まさに一目惚れと言っていい万年筆です。
それが、イタリアのデルタ「ドルチェビータ」という万年筆でした。
バレンシアオレンジのような艶やかなボデイに漆黒のキャップ、金（シルバーにメッキされていた）の装飾が施されていて、ドルチェビータ（甘い生活）という名に相応しいデザインです。そのメーカーの歴史などは全く知らなかったし、その時は知りたいとも思いませんでした。「過去なんて関係ないんだっ！」というくらいの惚れ込みようです。
ただ、すぐに手の届く金額ではなかったため、わずかな小遣いから貯金に励みましたが、いっこうに貯まらないままネットでその姿を眺めるだけの日々が過ぎていきました。
しばらくして、ネットでその姿を見ようといつものサイトへアクセスすると、デルタの姿がありません。これはどうしたことかと調べてみたら、なんとデルタ廃業のニュースが見つかりました。
「デルタ…廃業………………」
当時は中古を探すという手段も知らなかったので、これで完全に終わり、もう終わってしまったのだと絶望感に包まれました。もう二度と手に入れることができない、なんでもっと早く買わなかったのだろうと（まぁ買いたくても買えなかったんだけどね）後悔しましたが、もう後の祭り。
それがきっかけだったのかどうかはもうわかりませんが、それから急速に万年熱が冷めてしまいました。
それから数年。
ふとしたきっかけでデルタを検索したら復活のニュースが飛び込んできました。
もしやと思い探してみると、あのドルチェビータもあるじゃないですか！
厳密にはドルチェビータではなく、デルタDV（詳しくはわかりませんが、廃業・復活の際の大人の事情で「ドルチェビータ」の名前が使えないらしい）です。
それでも、あのDV（ドルチェビータ）がある、買えるとわかってからというもの、かつてよりは溜まりやすくなった小遣いを工面し続けること半年ほど。つい先日、15、６年の時を経て一目惚れした万年筆デルタDVを手に入れることができたのです。
「やったーっ！ 本当に嬉しい！！！！」
万年筆愛好家の方の中には（もしくは多くの方がそうなのかもしれませんが）万年筆を何10本も所有している人がいますが、私はもうこれだけで十分という気持ちです。
たくさんあるのも楽しいですが、心の底から好きな万年筆を1本だけ所有してずっと使い続ける、というのも悪くない気がしています（いや本当。別に何10本もの万年筆を所有している人が羨ましいわけではない…と思いたい…）。
デルタDVを手に入れてからというもの、毎日のモーニングページやジャーナリングの際にデルタDVを使っています。文字を書くのが楽しくて楽しくて仕方がないです。
あぁ本当に買ってよかった！ 買えてよかった！
当時は買えない状況ではありましたが、今回ほど気持ちが入っていなかったったのかもしれません。今回は「これを逃すともう買えないかもしれない！」という思いがあり、本当に節約しましたから。本当に。要はやる気次第ということです。
では、DELTA DVギャラリーをご覧ください。
