万年筆に興味が出てくると気になる「万年筆の歴史」

万年筆に興味が出てくると、いろいろなことが気になってきますが、ここではその始まりについて簡単にご紹介します。

万年筆誕生

万年筆の歴史は結構古く、ルーツは紀元前2400年頃といわれているので、いまから4000年以上も前の古代エジプトで生まれたといわれています。当時のペン先は葦や鳥の羽などだったようです。

19世紀に入ると万年筆は大きな進化を遂げ、現在の万年筆の原型が誕生します。

1809年にはイギリスのフレデリック・バーソロミュー・フォルシュが軸後部のバルブを開閉することでインクをペン先に送るバルブ式の万年筆を発明。1883年には、現在でも人気の万年筆メーカー・ウォーターマンの創始者で、当時アメリカの保険外交員だったルイス・エドソン・ウォーターマンが、毛細管現象を利用した「スリー フィッシャー フィード」システムを取り入れたペン芯を開発。これはペン芯に3つの溝を設けインクの流量を適切に制御する仕組みで、これが現代の万年筆の基礎になったといわれています。誕生のきっかけは、ウォーターマンが自身の商談中にインク漏れが原因で契約を逃した苦い経験から、「絶対にインク漏れしないペンを作る」という決意だったというのは有名な話です。

万年筆黄金時代 

20世紀頃になると万年筆はペン先の素材をはじめ、形状、インクの供給方式、デザインなど、様々な点で工夫が凝らされ、多種多様な万年筆が登場します。ペン先の進化として、それまでの鉄製から金製(14金や18金)が使用されるようになり、柔軟性と耐久性、書き味が人気になりました。

インク供給方式では、吸入式、カートリッジ式、コンバーター式など、様々な供給方式が開発され利便性が向上。特に1920年代にペリカンが開発したピストン吸入式は、大量のインクを吸入できる画期的な方式として現在でも多くの万年筆に採用されています。

デザインも進化し、アールデコ様式など流行を取り入れた美しいデザインの万年筆が登場。所有欲を満たすアイテムとしても人気になり、パーカー、シェーファー、モンブランなど、現在でも有名な万年筆ブランドが数多く誕生しました。

万年筆は筆記具の王様として広く愛用されていきました。しかし…。

ボールペンの台頭

1960年代に入ると安価で手軽に使えるボールペンが普及しはじめます。ボールペンはインク漏れの心配がなく、またメンテナンスもほとんど不要なため、日常生活における筆記具の主流になりました。そして、万年筆は一部の人々に愛され続けてはいましたが、徐々に衰退していきました。

しかし、近年、その独特の書き味や多彩で素敵なデザイン、カラフルなインク、お手頃価格の万年筆などが登場し、再び人気が高まってきているようです。

懐かしさではなく新たな魅力としての万年筆

万年筆は、自己表現の道具やおしゃれ、多彩で素敵なデザインからコレクションの対象ともなっています。加えて、デジタル化が進んだ現代において、文字を手で書くという行為はある種の新鮮さとともに、文字を書くことの効能も見直され、人気を集めているのではないかと思います。

まだ万年筆を使われたことがない方、ぜひ一度万年筆を使ってみてくださいね。